感想

感想を書きます

ポケットに名言を、的なやつ

K点にたどり着けば、我々にとっての森羅万象はただ単に森羅万象なだけで、なんら価値もないという結論が出るのだ。これをもって、虚しいと感じるようではまだまだ人生修行が足りないよ。
( いがらしみきお『IMONを創る』アスキー出版 )

 

 

もし自分のこと幸せだと思うとしたら、自分より不幸な人間を見た時だけだ。自分より不幸な人間ってどこにいる。刑務所だよ。
な、刑務所行こうよ。幸せ探しにさ。ディズニーランドだと思って。ミッキーやドナルドが番号で呼ばれてんだよ。毎日おんなじ時間にパレードすんだよ。こんな幸せなことねえぞ。
( 宮藤官九郎鈍獣』)

 

 

どんな魔法であんなふうに血の上にいるのだろうか。天草四郎時貞という名前が浮かんで、なんだか無性に興醒めする。脳というのはちょっと不便だ。不思議と高揚するような何か起こるはずのこの夜に、いらない言葉はどこにもいらない。
( のりしろ『勇気一つを友にして』ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ-はてなブログ)

http://norishiro7.hatenablog.com/entry/20130501/1367470977

 

 

貴方は獨りになりたくても、私はさうではないのよ。どんな話ならいゝのでせうか。私、不眞面目な話なら得意よ。エノケンでもロッパでも。ふざけ過ぎてゐると云ふなら、徳富蘇峰にしませうか。武者小路にしませうか。人類の意思なんて笑へるわ。それとも笑へると云ふなら、私の歌が一番笑へますけれど。歌だけは子供たちに教へるなと初子さんと睦子さんに云はれてゐるくらゐ、音痴らしいから。
( 高村薫『晴子情歌』新潮文庫 )

 

 

俺は一つだけ忘れていた。湯を張ったヌードルを持ち運んでいる時、そして湯が容器からこぼれ出た時、俺達は割と耐える。100℃くらいあるはずなのに、俺達は割と耐える。
( のりしろ『俺は二兎を追う奴を見ていたい』ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ-はてなブログ)

http://norishiro7.hatenablog.com/entry/20090403/1238726034

 

 

道に漁船。屋根に車。電柱に遺体。さてこれなぁに。津波です。せーかい。田んぼに魚。道端に家畜。水たまりに犬猫の死体。ついばみに降り立ったカラスの群れ。さてこれなぁに。津波です。せーかい。
( 北条裕子『美しい顔』群像2018年6月号 群像新人文学賞受賞作 )

 

 

「わたしと二人で行きましょうよ。わたしのを時々貸してあげるわ。凍えたら一緒に死にましょうよ。」
(中略)
北の空から氷のように冷たい透きとおった風がゴーッと吹いて来ました。
「さよなら、おっかさん。」「さよなら、おっかさん。」子供らはみんな一度に雨のように枝から飛び下りました。
北風が笑って、
「今年もこれでまずさよならさよならって云うわけだ。」と云いながらつめたいガラスのマントをひらめかして向こうへ行ってしまいました。
( 宮沢賢治『いちょうの実』ポラーノの広場-新潮文庫 )

 

 

なくのはよしてね、お鹿ちゃん、いい子ねえ、あたし、いつんなったって、あんたをすてやしないことよ。
( W.グリム/J.グリム『兄と妹』完訳グリム童話岩波文庫 )

 

 

(皆、その場で、はーい、と手を上げて答えながら、やはり、はしゃいでる感じで進んで行く。)
はーい、じゃあ、今のジャンケンで、勝った人!
じゃあ、今のジャンケンで、負けた人!
じゃあ、いわき総合高校、2年生!
男子!
女子!
16歳の人!
じゃあ、17歳の人!
(中略)
んー、じゃ、今、いわき市内に住んでる人!
地震の後、引っ越した人!
じゃあ、家が
10キロ圏内だった人!
20キロ圏内だった人!
30キロ圏内だった人!
今、自分の家で、暮らしてる人!
今、仮設で暮らしてる人!
今、仮設校舎で勉強してる人!
大学に進学するつもりの人!
就職するつもりの人!
卒業しても、いわきに残りたい人!
卒業したら、いわきから出たい人!
いつか、日本を出たい人!
生まれ変わったら、もう一度、人間になりたい人!
( 飴屋法水『ブルーシート』白水社 )

 

 

幽玄と強きとは、別にあるものと心得るゆゑに、迷ふなり。この二つは、そのものの体にあり。( 中略 )万物の品々を、よくし似せたらんは、幽玄の物まねは幽玄になり、強きはおのづから強かるべし。この分け目をば宛てがはずして、ただ幽玄にせんとばかり心得て、物まねおろそかなれば、それに似ず。
( 世阿弥風姿花伝角川ソフィア文庫)

 

 

こちらアポロ11号。地球は少しも青くない。まっくろだ。宇宙はひとつも広がっていかない、パチンコ玉に向ってみるみる縮んでいる。百億光年の栄えある宇宙が、一センチのパチンコ玉になろうとしている。宇宙もカラスの声を聞いたんだ。どこかへ向って帰っている。こちら、アポロ11号。地球はどこも青くない。まっくろだ。ヒューストン、ヒューストン。骨は生きている。ヒューストン、骨は生きている……。
( 野田秀樹『野獣降臨』新潮文庫 )

 

 

私たちは、すでにプロットを決めたのだ。だから、そのプロットに合わせて、エピソードを考えなくてはならない。(中略) 語りたいエピソードが先に来て、それに合わせて登場人物を動かしたり、無理矢理にエピソードを語らせることをしてはならない。(中略) エピソードを決めるにあたっては、必要以上に読書をして、取材をして、そのほとんどが無駄になる覚悟を決めておかなければならない。
( 平田オリザ『演劇入門』講談社現代新書 )

 

 

私は、今の世の中を、今の進み具合の中で、今まさにそうするみたいに驚いて、変な言葉ですが、ほどほどに驚いているという気ばかりするのです。想像しなかったけど、想像してもおかしくなかったものが、私の前に現われて、私を喜ばせたり、悲しませたりして、身の丈に合っていると思います。そして実につまらないと思うのです。
( 乗代雄介『十七八より』講談社 )

 

 

風媒のたまものとしてマリヤは蛹のごとき嬰児を抱きぬ
( 葛原妙子 )

 

 

「せいぜいあっちこっちで生きのびてくれ。わいのいうことはそれだけや。ときどき便りがほしい」
「新聞見とれ!」
( 開高健『日本三文オペラ』角川文庫 )